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裏合わせ

笹木一真

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(冷えた秋の空気が
松柏の上辺で
言い淀んでいた夜の、)
全量
誰もいない車道で
信号が変わるように
広間を 翳の白い女が
横切った
これから少しずつ失われていく孤独を思い
女の頭の中で、幾度も波が引き返す


照りかえし
塗沫される裾
水晶体の
あわき海原を踏み分けた(らしい
私にも足の裏が


知らない町の市役所で
歩くと胸に廊下がはいってくる
その分なにかが出ていくわけでなく
少しずつ
中小企業の古いビルや
空地たちが腑分けされた
内海は閉じているが
とてもそうは見えない


見られると
一斉に沸き立つ鳥の群れ
暗がりで
なめらかに開いてゆくが
直視すると既に閉じて
いる 四枚の襖
これからも、覆うと、ねむったふり


ながれ込む微風
かたくなった視線に
破れ目が
首から顎にかけて蠢き
おごそかに
廻りつづける横顔が

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