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赤紙についての詩

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俺は君に

俺の人差し指を二本その斧で

叩き切ってくれ

と言った

それで

二人で

田舎で暮らそう

また

B-29みたいに

東京はやられるかもしれない

逃げるだけじゃ

だめだ

俺は君を守りたいから

たぶん

戦争に行ってしまう

誰かのために

戦える

そして

死ねるという

俺にとって

楽な選択をしてしまう

俺は

輪廻転生を信じているから

たぶん

来世でまた

君に会えると

思ってしまう

銃を担いで人を殺しまくって

撃たれて死んで

地獄に行ったとしても

君を守ったんだから

本望だ

と俺はたぶん思う

それが

とても怖いんだ

君を守りたい

でも

戦争に行きたくない

非国民だと言われて

撲殺されるかもしれない

親だって

早く行けというかもしれない

俺は君が好きだ

日本が君や他の君みたいな

人たちのために

ずっと存在してほしいと思う

その協力ができるなら

命を捧げてもいいかもしれない

でも

それが本当に君を

日本を守るということになるのだろうか

俺はただ

誰かのために死にたいだけなのかもしれない

そうしたら

死ぬ理由ができる

怖くない

誰かのために

俺は勇敢に死んだことになる

それなら怖くない

みんなに靖国で会える

君を守りたい

でも

本当に戦争に行くことが

君を守ることになるのだろうか

俺にはわからない

でも

俺は君に俺の人差し指を叩き落として欲しい

と頼んだ

俺は

自分で叩き落とそうとはしなかった

結局

全部

君のせいにしたいだけなのかもしれない

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