この企画は古着好きの詩人・田上友也が自分のお気に入りの古着から着想を得たショートショートを綴っていくコーナーです。
かおりがはじめて潮吹きをしたとき、俺はなぜか嬉しかった。そして、その潮が俺が買ったデッドストックのリーバイス501にかかってびしょびしょになった。俺は人生で初めてデッドストックの501を買った。そして、それを初洗いするのを楽しみにしていた。デッドストックのジーンズには糊が付いていて、それを落とすのが古着好きにとっては至福の時間なのだ。かおりは謝った。でも、俺はなんだか嬉しかった。初めて買ったデッドストックのリーバイスに、初めてかかった水分がかおりから放出されたものだという事実がなんだかとても嬉しかった。まだセックスが終わっていなかったので、別に怒ってないよとかおりに伝え、そのあとセックスをして、終わったあと、一緒にコインランドリーへ行った。というか、俺が一緒に来てよと言った。かおりはそういう突拍子もない提案が好きだった。かおりは俺の部屋着のスウェットをぶかぶかだけど着て、サンダルを履いていた。かおりはノーブラだった。俺はかおりがセックスのあとぼーっと携帯をいじっている間に、リーバイスのフラッシャーを取っておいた。コインランドリーは薄暗くて、なんかちょっとエロかった。かおりは誰もいないことをいいことに、そのコインランドリーの薄暗さを利用してセクシーポーズなんかを取っていたが、俺からすると本当にただセクシーなだけなので、かおりの笑いに釣られて笑ってはいたけれど、本当にセクシーでかわいいなと思っていた。かおりがいろんなセクシーポーズを模索している間に俺はリーバイスのジーンズを裏返していた。改めてジーンズを確認してみると結構びしょびしょだった。ちょっと匂いを嗅いでみたら、少し臭かった。でも、とてもセクシーだなと思って、少しチンコが大きくなった。そして、そのまま洗濯機にぶち込んで、コインを入れた。洗濯機は回り始めた。
「お!初洗い!」
とセクシーポーズを取っているかおりは言った。かおりは前屈みにポーズを取っていたので、ぶかぶかの首元から乳首が見えていた。かおりはボロボロの古着を買う俺の好みをよく理解しない部分があるが、俺もかおりのなぜか小さなバックをたくさん持っている理由もよくわからないので、お互い様かと思っている。珍しくかおりが
「このジーンズいつごろのやつなの?」
と聞いてきたので、
「確か1999年」
と答えた。
「じゃあ20年以上前じゃん!まだわたし小学生になってないくらいかな」
と言った。
「これデッドストックって言って、当時の新品のまま残ってたやつなんだよ」
「時をかけるデニムってことか、」
とかおりは言い、俺は笑った。
「確かに時をかけるデニムかもね」
洗いが終わって、家に持って帰って、自然乾燥させるために、窓際に吊るしておいた。結構いい感じになりそうだと思った。あかりはもう一度セックスをしたそうな雰囲気を出しているが、俺はそれが本当にそうか図りかねている。しかし、あかりは俺にキスをしてきて、
「ジーンズにかけちゃってごめんね」
と改めて謝ってきたけれど、
「別に全然いいよ。ジーンズも喜んでるよ」
と言って、今度はジーンズにかからないように、お風呂でセックスをした。
セックスで疲れて眠ってしまった俺が朝起きると、かおりはジーンズを眺めていた。
「おはよ。乾いてる?」
と俺。
「おはよ。うん、乾いてるっぽいよ」
とかおり。
俺はジーンズを手で触ってまだ全然生乾きだったけれど、あかりは今日の午後からバイトがあると言っていたし、どんな感じか見てもらおうかなと思って、
「ちょっと履いてみるからみてみてよ」
と言って、ジーンズに足を通してみた。ウエストレングス共にジャストサイズで、かなりいい感じだった。
「どう?」
と俺。
「めっちゃいい感じ」
とかおり。そして、それを脱いで、もう一度窓際に干しておいて、俺はもう一度彼女に潮吹きをさせたいなと思っていた。
デッドストックのリーバイス501(1999年製)
高円寺のstepaheadで購入。