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第5回 好みについてのショートショート 〜お金が足りない田上友也と、彼の古着の年〜

田上友也

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 この企画は古着好きの詩人・田上友也が自分のお気に入りの古着から着想を得たショートショートを綴っていくコーナーです。


「なんかこのシャツ素肌に着るとめっちゃ気持ちいいね!」

 とあけみは言った。

「ラルフローレンのリネンは一味違うのだよ!」

 と俺は言ったが、さすがにセックス終わりに俺のシャツを裸の上から着るあけみは可愛すぎて、一応ふざけて、人差し指をピンと立てながら、言ってみたものの、ちんこもピンと立っていて、あけみはニヤついてた。

 その後、最初のセックスよりも良かったんじゃないか?と思うほどの二回目のセックスをした。俺とあけみはよくセックスが終わってある程度世の中でいうイチャイチャを終えた後(俺はセックスの後に疲れたとか言って冷たくなるような男ではないのだよ!)今回のセックスがどうだったか議論を繰り広げる。実際、繰り広げる!と言っても、あけみは恥ずかしがってあまり話さないけれど、その議論の重要さは理解していくれているようで、話に付き合ってくれる。

「あけみは今日のセックスはどうだった?」

「一回目と二回目どっちが良かった?」

「あんな感じでクンニした後にすぐ入れた方がやっぱり気持ちい?」

「マンペっていうの?なんか空気が出るやつ、あれ別に全然気にならないから、気にしなくていいよ」

「俺はやっぱり右乳首の方が好きかな」

「もっとフェラするとき音立ててくれると興奮するかも」

「当時の制服を着てほしいっていうのはあるかな」

 いつも俺ばかりが話しているが、今日はあけみがこう質問してきた。

「こうくんさ、大きめのシャツきている女好きでしょ?」

 俺は特に自分のことをそうだと思ってはいなかったが、あけみは俺のことをそう思うらしい。

 俺は

「いや、そんなことないけど」

 と言った。

「あそー」

 と彼女は言った。

 彼女はそう言うと着替えに行った。

 俺は自分が大きなシャツを着た女性を特段エロいなと思ったことはなかった。どちらかと言うとメイドとか、警官とか、制服とか、コスプレ感のある方が好みだと自分自身は思っていたけれど、あけみが言うならそうなのかもなと思った。

 新しい性癖が開花する、という瞬間を描いたエロ漫画を読んだことがあるのを思い出した。女がSに目覚める。男がMに目覚める。その逆も然り。野外プレイに目覚める。誰かに見られていると興奮する。そういうのに目覚めるという体験を今までしたことはないが、そもそも大きなシャツがこのような壮々たるプレイたちと並べるのはお門違いか、と思いながらも、大きなシャツか~、と他に考えることもないので考えていた。

 あけみは俺のクローゼットからさっきのとは違うラルフローレンのリネンシャツをまた裸の上に着て、歯磨きをしながら戻ってきた。

 うん。確かにエロい、と俺は思った。

 胸の形がわかりそうでわからない感じ。ワンピースのようになって、裾がひらひらして、見えそうで見えない透けている感じ。

 俺はなるほど!と思った。そして、携帯で「大きなシャツ 女性 エロ」で検索し、大きなシャツを裸の上から着ている女性の写真を眺めたあとに、俺のシャツを着ているあけみを見た。画像よりもあけみのほうがエロかった。あけみは俺の彼女で、俺とセックスをするような関係で、セックスだけじゃなくて、デートも行ったりするし、旅行だって行ったりする。そんなあけみが俺のシャツを裸の上から着ているから興奮するのか、となんか真っ当すぎる考えが浮かんだけど、単純に体とか、顔が俺のタイプなだけかもしれない。俺は顔がタイプで、体もタイプで、性格もタイプであるあけみと付き合えたのはかなり運がいいなと思った。

「何見てんのよ~」

とあけみは言った。

俺は

「あけみを見てんだよ」

と言った。



ラルフローレンリネンボタンダウンシャツ

Johnson Market 千葉店で購入

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